3902人が本棚に入れています
本棚に追加
『いいか。知らない人に付いて行ったり、得体の知れないものに近寄ったりしちゃだめだ。誰かに呼ばれているような気がした時は、ダッシュで逃げろ。無視していい。全力で家まで帰れ。いいな』
(そうだ、ダッシュで逃げなきゃ!!)
少女はくるりと、華麗に踵を返し、一目散に走りだした。
背中のランドセルが、ガタガタと音を立てて左右に大きく揺れた。その音にまぎれて、声が追ってくる。
――――おーい……。
心なしか、声は大きくなっている気がする。
ついてきている。
何か、得体の知れないものが。
ヒトでない何かが!!
そう思った瞬間、背筋が凍りつくような恐怖を感じた。
足が震えだして、上手く走れない。
――――おーい……。
ドキリとした。
すぐ背後にいるかのように、声は大きくしっかりとしたものだった。
このままじゃ追いつかれてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!