プロローグ

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  『いいか。知らない人に付いて行ったり、得体の知れないものに近寄ったりしちゃだめだ。誰かに呼ばれているような気がした時は、ダッシュで逃げろ。無視していい。全力で家まで帰れ。いいな』 (そうだ、ダッシュで逃げなきゃ!!)  少女はくるりと、華麗に踵を返し、一目散に走りだした。  背中のランドセルが、ガタガタと音を立てて左右に大きく揺れた。その音にまぎれて、声が追ってくる。  ――――おーい……。  心なしか、声は大きくなっている気がする。  ついてきている。  何か、得体の知れないものが。  ヒトでない何かが!!  そう思った瞬間、背筋が凍りつくような恐怖を感じた。  足が震えだして、上手く走れない。  ――――おーい……。  ドキリとした。  すぐ背後にいるかのように、声は大きくしっかりとしたものだった。  このままじゃ追いつかれてしまう。
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