プロローグ

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 少女は全力疾走に切り替えた。  すぐに息が上がる。  足がもつれて、転びそうになりながら、必死で走った。  もうすぐ家だ。  大丈夫、このまま走って家に飛び込めば、兄が何とかしてくれる。  それでも、どんどんと近づいてくる気配に比例して、恐怖は増大していく。  怖い。  怖い、怖いよ!!  助けて、お兄さま!!  家が見えた。  もうちょっと。  もうちょっと。  体力も限界だ。  息が苦しい。  横腹が痛い。  あと数歩。  もうすぐ、兄のもとへ。一番安全な、兄のそばにたどり着く。
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