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「結局、誰も来なかったわけ? じゃあ、ほんとにラブレターだったのかなあ?」
和久(かずひさ)が地球最大の珍事を耳にしたような表情で、聞き返してきた。
「だからさ~、なんで信じないかねぇ。このイケメンな俺がラブレターもらったら、そんなに可笑しいってか?」
直久(なおひさ)はがっくりと肩を落とした。
ことの始まりは、よりによって、めでたく17回目の誕生日を迎え、自称『直ちゃんのバラ色のセブンティーン』開幕翌日の朝、しかも登校直後のことだった。色々と期待しちゃうのもしかたない。
いつものように、始業チャイムぎりぎりに登校した直久の机の中に、差出人不明の封筒が入っていたのだ。
文面は以下の通り。
――『裏庭にて待つ』
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