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しばらくして彼女の元に、銀色に光るスポーツカーがやって来た。
厚かましくも車はバス停に入り込み、座っていた彼女を拐って行く。
車のフロントガラス越しに見えた運転席の人影は
…男だった。
そんな事があってから、何度かバス停を利用した。
しかし彼女をみかける事は無かった。
結局、車の人影が恋人なのかどうかは分からず仕舞いだが、俺はそれでも良いと思う。
彼女を見た一瞬に沸き起こった感情。あれはやはり、恋心だった。
一瞬の内に燃え上がり、そして沈静化していく。
だが一緒に共有した時間が短かったからこそ、あんな風に膨れ上がったのかもしれない。
そんな冷めた考えをする自分に蓋をして、俺は保証の無いバス停へ足を向けた。
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