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今日は入学式。
高校は県立桜咲高等学校。
俺は校門の前に立っている。
「結構、綺麗ね。 入試の時はいっぱいいっぱいだったから覚えてないけど。」
隣でそう言うのは幼馴染の麗香。
あぁ、俺は鈴原竜斗だ。
そして、今ざわめくは高校の敷地内に聳え立つ桜の木。
三年間、通う高校…か。
「どうぞ~。」
不意に紙を手渡された。
「あ、どうも。」
「ん? 何をもらったの?」
竜斗は紙をみる。それを麗香が横からのぞく。
「生徒会役員の募集…か。」
俺はその紙をくれた上級生を見た。
綺麗な人だった。背は高く、髪は腰まである。なによりモデルのような顔立ち。
可愛さが残るその表情に時として凛とした表情をのぞかせる。
そんな不思議な女性だった。
最初の印象をまとめると、そんな感じだった。
「詳しくは、2年4組、前期生徒会副会長・園咲美夏(ソノザキミカ)まで…か。」
出逢いとは、とても些細で、陳腐なものだった。
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