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俺は興味本位で聞いてみた。
「楽しいって具体的にどんな感じですか?」
「…ふむぅ…難しい質問をしますね…。 例えば…あなたは学校の行事の裏の仕事をした事がありますか?」
「いや…ないです。」
正直めんどくさいと言うのが正直なところだ。
「一見地味だし、夜遅くまで準備しなきゃいけないし、当日も楽しい行事なのに仕事で満足に楽しめなかったり…。そんなことは当たり前なんです。
でも、そんな辛い事を裏でやっているから、それに参加している人たちの表情が気になりませんか?
自分が一から作り上げた行事を楽しんでくれているのか。
気になりますよね?
そんな時、参加している人が笑顔で楽しんでくれれば、自然と自分が時間を割いてやってきた事が全部報われる気がするんです。
皆の笑顔を見る事。それを見てさらに自分が嬉しく思える。
そう。ただ、人の笑顔が見たくてやっているんだって。
それが生徒会に於いての“楽しい”って事なんじゃないかと思います。」
みんなの笑顔か…。
確かに、中学の文化祭や体育大会は楽しかった。
みんな笑顔になっていた。
あの居心地の良さ。それは誰かが準備しなければ、誰かが企画運営をしなきゃ、ならなかった表情や心地良さなんだ。
その表情の強弱を、俺らの仕事のやる気で左右されるなら…
断然心身をかけて準備に力を注ぎたいと思う。
みんなを楽しませてやりたい。そう思える。
その事を聞いて、安心した。
生徒会に入るって言っても、別に成績が良いだとかじゃない。
生半可な気持ちでやる事は嫌いだから止める事はないと思う。ただ、俺なんかがやって迷惑じゃないかって思ったのは事実だ。
けど、そんな心配は杞憂だったんだ。
「楽しそうです。 是非、やりたいです。」
麗香を筆頭に俺と希もそれに同意した。
「うふふ。後はこれに必要事項を書いてサインを書いてもらえれば正式に入れますよ。」
と言う事で美夏さんの優しい教え(何故か俺限定)で、一通り書いて、俺らの生徒会への入会が決まった。
それから3人の連絡先を交換した所でその日は終了した。
「で? そんなに気にいったのかい?」
美波は聞く。
「全く、年下に甘いんだから…。」
美音は呆れる。
「うふふ。 あんなイケメンさんが入ってくれれば、少しは楽しくなりそうですね。」
一人、ニヤニヤする美夏だった。
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