第五十九章…神の正体

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「御剣くん?今度はどうしたんだろ?」 不思議に思いながらも、あまり間をおくことなく通話ボタンを押す。 心配性の彼のことだから、おそらくは昼と同じ用件なのだろうと考えながら。 「もしもしー?どうかしたのー御剣くん?」 完全に立ち直ったとアピールするように、普段通りの振る舞いを心がける。 役に立たないなら、せめて邪魔にならないようにと考えてのことだ。 彼の重荷になることは、彼女としても到底耐え難いことだから。 「小柴か。よかった、すぐ繋がってくれて……」 電話の向こうからは、ホッと息を吐く気配が伝わってくる。 そのわずか数秒のやり取りだけで、どれだけ彼に気苦労をかけているのかがわかってしまう。 「あはは、なーに御剣くん?まだ心配してくれてるんだー?私ならもう全然平気だから、気にしなくていいよ?」 「あ、いや……そうか。平気、ならいいんだけど……」 彼女としてはいつも通りに振る舞ったつもりだったが、やはりどこかに違和感があったのだろうか? 答える彼の歯切れは悪い。 明らかにまだ心配をかけているようだ。 「本当に大丈夫なのか?何か周りで変わったこととかは……」 「御剣くん、心配しすぎだよー。今日だって、電話もらってからすぐバイトに出てたんだからー。だから、私はもうぜんぜん────」 「な────!」 彼女の言葉を遮るように、彼の驚愕の声が耳に届く。 慌てているような怒っているような、そんな声が。
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