第六十二章…Lost Memory

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「関係あるね。悪の力を借りた時点で、たとえその理想が正しくても、お前はもう正義じゃないよ」 ある種、縋るような必死さを見せる穂村を冷たく突き放す。 気持ちを慮る必要はまったくないし、遠慮する必要もない。 「それにな穂村、力が必要だったってお前の気持ちは、正直俺もわからないでもない。俺だって、いったい何度思ったことか……」 今だって思ってる。 力さえあれば、神楽弥勒や羅刹にだって負けはしないのにと。 しかし、だからと言って……いや、だからこそ──── 「弱いんだったら……力がないんだったら、何故もっと強くなろうとする努力をしない?なんで安易に楽な道に走ろうとする?力が足りないんだったら自分で強くなれよ。妖刀なんかに頼らずにさ」 俺だって強くなりたいと思う。 だけど、妖刀が欲しいなんて思ったことは一度もない。 負の心こそを糧にする妖刀。 負……それは要するに“負け”ということだ。 己の力では達成できないと、認めるということだ。 求めること自体が弱さそのもの。 だったら、そんなもの────俺には必要ない。
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