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「負けられないよな。戦う前から負けてるようなやつに、負けていい筈がない。端から負けるつもりなんてなかったけど、より一層そう思ったよ。お前には────絶対に負けられない」
穂村に負けるということは、俺の十六年の人生すべてが否定されるのと同義だ。
俺が俺であるために。
こいつには────絶対に勝たなければ。
「正直、俺はお前が嫌いだ。お前が俺に嫌悪感を覚えるように、俺もお前が気に入らない。ここでお前と戦う理由は山ほどあったけど……今はそれだけで十分だ」
えもいわれぬ嫌悪感。
────その正体はもうわかっているけれど。
だからこそ、決着をつけよう。
穂村とだけではなく、それは────
「黙って聞いていれば好き放題言いやがって……!いいだろう!そこまで死に急ぎたいなら望み通り消し炭にしてやるよ!夜摩の異能、『過熱する狂気』《オーバーヒート》でな!」
穂村が歌うように異能の名を名乗りあげると同時に、眼前に揺らめいていた炎に命が宿る。
それはまるで獲物を補足した大鷲のように。
一直線に俺のもとに飛来した。
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