第六十二章…Lost Memory

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「くく、くはははは!!いい様だな御剣右京。情けない悲鳴がこちらまで聞こえたぞ?」 「…………」 「くく、しっかりしろよ。俺を倒すとかなんとか言ってただろう?早くやってみせ────」 「ああ、そうだな。お望みとあらばやってみせようか。いい加減、逃げるのにも飽きてきたしな」 そう答え、感覚を確かめるように左腕を回し、壁際を離れる。 腕を上げようとすると鎖骨にかなり痛みが走るが、我慢できないほどではない。 どちらかというと肋の方がひどい。 身体を捩る動作をしたり、呼吸が乱れる度にかなり痛む。 先程の大ジャンプのおかげでやはり多少悪化したか。 ……まあ仕方ないだろう。 泣き言を言っても怪我が治るわけでもなし。 限界を迎える前に、穂村を仕留めればそれでいい話だ。 「────なんだって?今お前、なんて言った?」 「だから、逃げるのは飽きたって言ったんだ。ようやく覚悟もできて、推測も立ってきたからな。もう逃げる必要もなくなった」 言って、ベルトに差していた逆刃刀の鞘を左手に握る。 先がないとわかった以上、回避に没頭する意味はもうない。 刀を手に取った以上────ここからは剣士の領分だ。
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