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「俺はまだこうしてピンピンしてるぞ。俺を裁くんだろ?さあ、早くやってみろよ」
「…………」
「お前が本当に閻魔の化身だとするなら……一介の人間にしか過ぎない俺を裁けない筈がない。……そうだよな?」
「────いいだろう。どんな手品を使ったか……お前の望み通り、俺の異能で見定めてやる……!」
その言葉通り、何もない空間から再び炎弾が放たれた。
先程のものよりやや小ぶりで、さらに至近距離から。
呼吸を合わせる間もない。
異能による、有無を言わさぬ速攻。
熱風を伴い迫るそれを、しかと両目で見定め────
────柄を握った右手にわずかに力を込め、鞘を滑らせるように抜刀する。
猛る獄炎、閃く白刃。
肉薄する火焔の直中に、己が腕の延長とも言える逆刃刀を渾身の力で振り抜いた。
居合い抜きの要領で一息に振り抜いた逆刃刀は、苦もなく穂村の放った炎を両断した。
異能により練られた火炎は儚くも四散し、周囲に火の粉を撒き散らして消えていく。
その中心で、舞い落ちる火の粉を総身に受けながら。
ただ静かに逆刃刀を鞘におさめた。
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