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「お前……お前、まさか────」
「だから言ったろ?特別なことは何もしてないって。それに、俺はお前の異能を受けてやるとは一言も言ってない。ああ、俺の行く手を阻むつもりなら、存分に阻めばいい。俺の行く道は────この刀で切り開く」
すべてはその言葉通り。
何も特別なことはない。
障害となるなら、たとえ炎でも斬って捨てる。
斬り開き────道を作る。
追い詰められる前はそんな考えは思いもつかなかったが、退路を断たれてふんぎりがついた。
多少のダメージは覚悟していたが……存外に上手くいってくれたようだ。
「馬鹿な……!炎を切断するなんて、そんな芸当ができる筈がない!そんな真似はどんな人間にだって不可能だ!」
「なんだ、わかってるじゃないか。そう、炎を斬るなんて、人間には不可能だよ。たとえ剣士でも、剣士じゃなくともな」
「だったら────!」
「だから、俺が斬ったのは炎じゃなくて空気だよ。燃焼の媒介としている空をこそ斬ったんだ。そんなこと、子供にだってできることだろ?」
空を切る。
スカを食う。
要するにただの空振り。
俺が常日頃から励んでいる素振りと何ら変わらない。
俺がやったことなんて、所詮はその程度でしかない。
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