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「そんなに大きな声出さなくても聞こえてるよ。どうしたのさ急に」
「そんな落ち着いてる状況じゃねえんだよ!!お前、今どこで何してやがる!!」
「何って、つい今まで寝てたんだけど……」
「寝てただぁ!?この大変な時に……!緊張感ねえのかてめぇは!!」
まこと身勝手な激昂をなされて、慶兄は再度声を張り上げた。
昼間別れた時とは言っていることが違いすぎる。
「あのね慶兄……俺がいつ寝ようと慶兄には迷惑かけてないだろ」
「やかましい!!今はお前の言い訳聞いてる暇はねえ!!んなことより加奈ちゃんだ!加奈ちゃんはまだ家にいるんだろうな!?」
「小柴?ああ、寝る前に電話した時は大人しく家にいたみたいだったけど。大丈夫とは言ってたけど、やっぱりまだ少し元気がなかったかな」
電話の向こうの声は、無理に明るく振る舞おうとしているものだった。
普段は感情を乱すことの少ない小柴だからこそ、乱れた時は手に取るようにわかってしまう。
居合わせた責任もあるし、俺としても気がかりだ。
忘れろと言っても無理だろうが、早くふっ切ってくれればいいのだけど……。
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