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「とにかく、俺はすぐにはそっちに戻れねえ!お前は早く加奈ちゃんのとこに行け!家は知ってんだろ!?」
「────わかった。すぐに出る」
「今加奈ちゃんを守れるのはお前しかいねえ。いいな?お前しかいねえんだ。絶対守れ、わかったな?」
「言われなくてもわかってる。何があろうと……あいつは俺が守るよ」
絶対の決意を口にして、通話を切断した。
身を守る術を持たない小柴が標的。
俺の身体は、多少休んだとはいえ本調子とは言えない。
担い手の異能は、炎に関するものという以外はわかっていない。
圧倒的な悪条件。
だが、そんな泣き言を言っていられる状況ではない。
部屋着から着替え、逆刃刀を握りしめ部屋を出る。
小柴の家はうちからそう遠くない。
急げば十五分もかからないだろう。
絶対にやらせはしない。
守ってみせる────今度こそは。
決意を胸に階段を下りていくと、その先に千尋と七菜が立っていた。
玄関の手前で、俺を待ち受けるように。
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