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「納得いかない、という顔をしているな。何、そう難しく考えることはない。答えは至って単純だ。その子とそいつでは、ただ生まれる時代が違っていた」
「時代?」
「世代と言い換えてもいい。君の狙う化け物が第一世代とするなら、弟さんが倒した子は第二世代だ。それらを産み出すために犠牲になった命の数、それが同じだと思うかい?」
「……つまり、ノウハウの有無ってことか?」
「そう。その子を産み出すには、それ相応の前例があった。マニュアルと言ってもいい。要するに、それらが散々受けただろう何の意味も成さない措置を、その子は受けずにすんだわけだ」
どうすれば効率よく能力を維持できるか。
どこまでなら実験に耐えられるか。
あらかじめわかっていたなら試す必要などない。
ただ、最初だけは別。
誰も踏み混んでいない真っ白な雪原を往くように。
あれもこれもそれもどれも、どんなに意味がないと思える実験であろうとも、試してみないことには絶対とは言えない。
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