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ライアーラ城では、見張りを残し、ほとんどの者が外出し、静かだった。
その静かな城のテラスにあるイスに腰を掛けている者が……リュウザンだ。
目の前のテーブルにおいてあるティーカップを右手で掴み口元へ……左手には新聞を持っている。
どうやら新聞を読みながらティータイムを楽しんでいるようだ。
そしてリュウザンの表情は和やかで、時々笑みが浮かぶ……彼が片手に持つ新聞には、剣を高々とかかげるアイルの姿が映っており“挙兵したイクタベーレの王太子アイル!ライアーラ城奪還!!”と、でかでか書かれてあった……。
「う~」と頭を抱え、フラつきながら一人の男がテラスやってきた。
「ソラ!生きてたか?」
とリュウザンが声をかける。
「……ああ何とか」
ソラと呼ばれた彼はそう答え、フラつきながらもリュウザンに歩み寄ってきた。
このソラとは、イクタベーレ騎士団の一人でリュウザンの良きライバルであり、良き友だ。
またリュウザンの正確かつ華麗な剣に対し、彼は豪快かつ力強い剣を持っている。
彼はテーブルを囲むリュウザンが座っている別のイスに腰をかけ、テーブルにぐったりもたれかかった。
リュウザンはソラがイスに座った事を確認するとテーブルに置いてあったミネラルウォーターをコップにコポコポと注ぎながら……
「祝いの宴であんなに飲むからだ……ライアーラの酒はキツイんだぜ!」
と言ってコップを手渡した。
「ワリィ……シオンの奴が次から次へと注いできやがるから……」
と言い終わるとコップの水を一気に飲みほし……
「しかし昨日は大騒ぎだったな」
と話を続けた。
「バルマーラ侵攻後、初めての勝利だからな、誰もが絶望を感じ始めた時だけにこの意義は大きいさ……でもまだこれからってヤツさ」
「ああ」と答えたソラはテーブルに置かれた新聞のアイルの姿が映っている写真を眺め笑みを浮かべていた。
ソラは今度は自分でウォーターをコポコポと注ぎ……
「ところでお前は遊び行かないのか?今日は休息を取って良いんだろ」
とリュウザンに聞いた。
「俺は良いさ、ここでのんびり留守番でもしてるよ」
「俺は本当はこの城の守りを頼まれているんだが……」
テーブルに頭を伏せ、左手で髪をグシャグシャしている……二日酔いに苦しんでいる様子だ。
「寝てろよ!俺が代わってやるぜ」
「すまない」
「気にするな!ちゃんと貸しにしとく」
「ハ~……そういう奴だよ…お前は」
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