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城下町にある闘技場では、戦いに飢えた戦士達が集う。
参加料800Gを払い勝利すると倍の1600Gが返ってくるシステムになっており、金を稼ぎに来た者、腕試しに来た者、はたまた賭けを行い大金を狙う者など様々な人達が集まっていた。
今はゼフィロスが剣士らしき者と戦っている……だがあっさりゼフィロスに斬られ、この戦いに幕を閉じた。
それを観戦しているシオンの視界にラクームの姿が映る。
「やっぱゼフィロスはんは強いでんなぁ」
相変わらず右手甲を上に、左手甲を下にして胸の前で握手したような商人ならではの格好をしており、また目は細くしてシオン見ていた。
「よーラクーム!お前さんもやるのか?」
「何を言ってはります……ワテが勝てるわけないでヤンス。ワテは賭けの方をやりに来たんでっせぇ」
「そうか!じゃあ良い事を教えてやるぜ!!次は俺に有り金全部賭けな」
自信たっぷりの笑顔をしている。
「わーてまっせぇ、そのつもりでヤンス」
「ほー」
ラクームはシオンと話終わると賭けを行う窓口に向かった。
「おめでとうございます……見事ゼフィロス選手が勝利しましたので“50000G”の配当でございます」
「それ全部、次の剣士シオンに賭けるでヤンス」
少し離れてたとこで見ていたシオンの首がガクッと落ちる。
(チャッカりしてんな)
胸中苦笑い。
確かにチャッカりしている。しかも50000Gって……流石は商人と言うべきか、ケタが半端ない。
「え~全部ですか?」と窓口の人は驚きのあまり聞き直してしまった。
「そや」とラクームはあっさり答える。
「わかりました!では剣士シオンに50000Gですね」
……………
そしてシオンの戦いは始まる。相手は大柄な槍使いだ。
「こんなちっこいの軽く斬ってくれるわー!!」
槍使いが槍を振り上げ突っ込む。だがシオンは剣も抜かず微動だにしない。
「くらえー!!」
槍を振り降ろそうとするが振り降すより、速く剣を抜き……
プシューン!!
「がはっ!」
バタン!
腹部斬り裂いた。
「久々に来たと思えばレベルが落ちたな」
とシオンがポツリ。
「流石はシオンはんやー。も➰かりまっか」
ラクームの顔にはまんべんな笑顔が浮かぶ。
「さて何をご馳走して貰おうかな……ゼフィロスお前も来い!!」
「ああ……」
「って……ちょいまち!なんでやねん」
「誰のお陰かな?」
嫌味ったらしい顔をするシオン。
「わーたよ……馳走しますぅ……トホホ……」
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