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ライアーラ城の敷地をソラの代わりに馬で見回るリュウザンの姿があった……流石に城となると徒歩で全体を見回るとなると相当な時間を用するのだ。
「今更バルマーラ兵がいるとは思えんが……」
と言いつつ確り辺りを見回し敷地を巡回していた。
バサバサ
とリュウザンの耳に鳥の羽根の音が響く。
「なんだ!?」
木々の奥から聞こえてくる。リュウザンは馬から降りて草木をかき分け、奥に進んだ。
其所には一人の少女が座り込みいる。またポカーンとした表情でリュウザンを見ていた。
その顔に彼は呆気に取られ、しばし沈黙が走る。
「どーもー」
と彼女は笑顔に変わり、右手を挙げながら、最初に口を開いた。
「お、お前ミオ?こんな所で何をしている?」
「ん━━と、相棒のチカがちょっと羽根を痛めたから休めているの」
そう其所に座り込んでいるのはミオだ。そしてその向こうには大鳥のチカの姿があった。
リュウザンはチカの羽根を触り、状態を観察……。
「大した事はなさそうだが……城に行けばきちんと手当てができるがどうする?」
彼女はリュウザンの目を覗き込み……
「えっ!?それって私を口説いているの?」
と訳のわからん事を……。
リュウザンはしばらく無言でミオを睨みつけ……
「……好きに思え!!」
と言い放った。
「つれないな~」
「そんな事は良い!どうするんだ?来るのか来ないのか?」
彼女は立ち上がり……
「うん、ありがとう!でも大丈夫。応急処置は済ませたから何とか帰れると思います」
と腰の方に両手を回し手を組んで前屈みになり、まんべんな笑みで言ってきた。
「帰るって何処にだ?」
何気なく聞いてみるリュウザン。
「ナイショ!いきなり住所はねぇ……」
と笑顔は崩さす話すミオ。
「じゃなくて……お前の上官はこの軍に入ったのだぞ!良いのか?」
「その節はありがとうございます」
ペコリんとお辞儀して……
「だけど私はまだやる事があるの……ごめんね」
と軽く舌を出してきた。
「そうか」
「でも貴方気に入ったわ……私の名は知ってると思うけど貴方は?」
「リュウザン……」
「そうリュウザンね……チカ!」
バサバサ!
彼女がチカの名前を呼ぶとチカは宙に舞い、そのチカの足をミオは掴んだ。
「また会えそう気がするわ……じゃあね。セイラ様をよろしくね」
バサンバサン!
彼女は空高く舞い上がり、上空でリュウザンに手を降って空の彼方に去っていった……。
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