第一章 戦士の休息

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城下町で、両手でいっぱいに荷物を持つアイルの姿があった。 彼の隣には“手ぶら”のロッカがいる……あきらかに無理矢理全部持たせただろうという感じだ。 「ロッカ!いっぱい買ったね」 とアイルがロッカに話し掛けた。 「何言ってんの!?必要な物ばかりよ!!また進軍したらいつ買物できか……そのくらいもわかんないの!?」 相変わらず口悪く、ツンツンしている。 「そうだね……ごめん」 と言いつつ、ふと空を見上げた。 「バードだ…」 空を飛んでいるのは先程飛び立ったミオだ。 「えっ!?」 彼女も目をやる。 「気持ちよさそうだね」 「アイル様も飛びたいの?」 「まあね」 お互い顔を下げに向き直した。 「仕方ないわねぇ!!いつかアイル様の為にウイングの呪文を習得してあげるわよ!!」 ウイングとは、プリーストが習得する事ができる最上級の空を飛ぶ呪文だ。 「えっ!?」 「で、アイル様も運んで飛んであげるわよ!!」 「クスクス……」 とアイルは笑い出した。 「んで笑うのよー!!」 ますますご機嫌が悪くなる。 アイルは笑顔を崩さす、荷物を左手で支え、右手はポケットから小包を取り出す。 「はい!ロッカ」 とその小包を渡した。 「……私に!?」 「うん今更だけど再会のお祝い!そんなもんで良いか自信ないけど」 ロッカはその小包を開けると中には親指を一回り大きくしたエメラルドのブローチが入っていた。 「ロッカの美しい瞳はエメラルドのように透き通って輝いているから」 「やだぁアイル様ったらぁ」 ロッカの二重人格の一つデレデレが始まる。 「明日はロッカの祖国グランバニアだ!さあ、行こう!!」 「はい!!」 【グランバニア大陸を縦断する大動脈……グラン行路━━】 【其処はグランバニアへと通じる唯一の路である】 【その路ではバルマーラの大部隊が立ちはだかっていた━━】
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