序章  雪月牙

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私は彼に手を引かれ、雪が降り注ぐ外に出て、彼に言われるまま雪合戦をした。 何故雪合戦?と思ったが成り行きに身を任せた。 外は一面銀世界。雪はひたすら降り注ぎ、お世辞にも暖かいなんて言えない程に凍える。 寒い中、意味もわからず雪合戦していたが、彼に笑顔を持ってるじゃんと言われ、自分が笑っている事に気付いた。 確かに胸の中に暖かいものを感じる……なんとも懐かしさを感じる。 そして確かに雪合戦に対して楽しさを感じていたのかもしれない……。 「せっかく良い笑顔持ってるのに……」 雪を丸めて投げながら、一緒に言葉が飛んでくる。 「勿体無いぜ!」 その言葉の一つ一つが心に響く。 「ほらほらもっと笑って」 「うん!」 今度は、自分でも笑っているのがわかるほど、まんべんな笑みを浮かべた。 少し顔が熱っていたので、もしかしたら照れながらだったのかもしれない……。 この胸の奥から込みあげる、喜びと懐かしさにひたり、こんな想いにさせてくれた彼には本当に感謝しながら雪合戦を続けた。 私の投げる雪の一つ一つにこの想いを込め投げる。 だが次第に意識が薄れていき……。 バタン! 私は倒れてしまった……。
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