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「才蔵様…私、さっき才蔵様とずっと一緒にいれるように…って願ったんです。
才蔵様は……あっ、聞かれちゃ嫌でしたよね。」
***は夕暮れを見ながら何を願ったのか俺に教えてくれた。
俺が怒ると思ったのか次に紡ごうとした言葉を止めた***。
願い事など決まっている……。
「俺も***と同じだ…もちろん、最初の願いも……。」
俺の言葉に驚いたのか***は固まってしまった。
「変な事を言ってしまったな。」
***の表情を見て俺は顔を背けるとそのまま歩き出した。
後ろから着いてきた足音が俺に並ぶ。
「変じゃないですよ?
そう言ってもらえて私は嬉しかったです。」
飛び込んでくる***の笑顔。
何だか安心してしまった。
しばらく歩いているとあるお店に目が止まる。
「少し待っててくれ。」
「えっ?あっ、はい。」
俺は足早に店に入ると直ぐに目当てのモノを購入して***の元へ戻ってきた。
***が口を開く前に買ってきた物を髪に着けてやる。
「えっ?才蔵様…これ……。」
「せっかく来たんだからな…記念だ。」
俺が***の髪に着けたモノは、少し大きめの花の飾りが一つ着いた髪飾り。
突然の事に驚かれたが、それ以上に喜んでもらえた。
「ありがとうございます!大切にしますね!!」
「ああ。」
いつも俺に向けられる笑顔。
その笑顔を見ているといつ間にか***に唇を重ねていた。
俺は慌てて離れた。
自分のした行動に内心驚いてしまう。
それほど***に惹かれているということか…。
「すまない……。」
「いっいえ…その、帰りましょうか。」
「そうだな…。」
お互いに顔を赤くしながら帰路につく。
***を一生守り続けて側にいる…心に深く刻み込み共に幸村様達の待つ宿舎に向かった。
この後、***のつけている髪飾りを見た幸村様と佐助にからかわれたのは言うまでもない………。
~fin~
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