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灰色の髪をした青年が、口を尖らせた。
「…しじま……。」
しじま、と青年の名を呟くと、行き先を聞かれた椿鬼という少女が戸惑う。
それを見てしじまは呆れながら愚痴を溢した。
「全く、どうせ人里でも行ってきたんだろ。椿鬼は変わってるよ。わざわざ人間の所に行くなんて。」
そう言って粥の入ったお椀を渡す。
「…だって。」
「だっても何も無い。ほら、こっちに来な。粥が冷めてしまう。」
しょんぼりとした椿鬼に座るよう促す。
「人間は恐ろしいんだから。私達よりよほど。」
その言葉に今度は椿鬼が口を尖らせる。
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