椿鬼

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いつの間にか、椿鬼の背後に犬が居たらしい。 驚いた椿鬼は思わず叫んで子供達の輪へ飛び出してしまった。 (あぁ…!) 冷たい雪の上にぺたりと座り、子供達の視線を感じながら、気まずさと不安さで椿鬼はうつ向く。 (どうしよう、どうしよう!) サク、と此方に近寄る足音がする。 体を強ばらせた椿鬼の目の前に小さく赤い手の平が差し出された。 「え……。」 「お前、この前僕らと遊んだ子でしょう? 今から皆で雪合戦やるんだ。一緒にやろう?」 見上げれば、見覚えのある優しい笑顔。 歓喜で体中の血が踊るのを感じ、椿鬼はその手を力強く掴んだ。 .
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