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教室に残された生徒は、帰りの支度をし、次々に寮へと帰っていく。
「何か気づいた事って、何だろ?」
エンは椅子に座り、まっさらな紙を見つめて眉間に皺を寄せる。
「課題とか好かんわ~」
真剣に悩むエンとは真逆に、ライは紙をぴらぴらさせて言う。
「でも何か書けばいいんでしょ?結構楽じゃない?ね、シルビア」
ウィンは荷物をまとめながらシルビアに言った。
「う、うん」
シルビアは曖昧な返事をウィンに返した。
「どうかした?」
いつもと様子が違う事に気づき、ウィンが問いかける。
「ううん、何でもないよ!」
シルビアは父の様子を見て気づいていた。
ローラ家であるアルブス家から妨害を受けた事を。
しかし、それを言えばウィンが黙っていない。
自分のせいで争いが起きるのは嫌だと、シルビアは言わないことにした。
貴族間の争いは昔から絶えないのだ。
「私たち先に行くね!」
ウィンとシルビアは先に寮へと帰っていった。
「僕達も帰ろうよ」
それから暫くして、帰りの支度を済ませたエンがカイの方を振り返ると、先程まではいたはずのカイの姿がない。
「あれ?カイは??」
エンは紙を手にしたまま机の上に寝そべっているライを揺らし、尋ねる。
「あー、何か学園長に呼ばれとるんやて~。先に帰っとこうや~」
ライは紙を適当に鞄に詰め込み立ち上がる。
「また後で会えるからいっか!」
エンは気にはなったが、後で話を聞けばいいと、教室を後にした。
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