†悪の囁き†

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「課題を集めます」 次の日、フランは朝一番に課題を回収した。 「全員提出ですね。まぁこのぐらいの課題は当たり前ですがね」 フランは眼鏡をくいっと上に上げて言った。 その日はいつもと変わらない平穏な日々が続いた。 それから一週間後… 表情には出さないが、カイは明らかに憔悴していた。 一週間前から毎晩あの声が頭の中に響くのだ。 一向に眠れず、魘されは起きる毎日。 カイルやエン達が心配して声を掛けるが、気にするなの一点張りだった。 あの声は夜にしか聞こえない。 だからカイは昼休み、誰もいない校舎の裏で仮眠をとり、時間がくればカイルが起こしていた。 “プルルルル、プルルルル” いつものように仮眠をとっていたカイはループスの着信で目を覚ました。 「何だ」 カイは不機嫌そうに言った。 「やぁ!今からおいでよ! 今からの早退と二日間の休学はシェナに言ってあるから~」 着信の主はシュナだった。 「は?」 相変わらずの強引さだ。 この性格は変わらないものなのか。 カイの眉間に皺が寄る。 「すぐ来てね~!おやつもあるよ!じゃあね~!」 そういうとシュナは一方的にループスを切った。 「ちっ」 カイは不機嫌そうに舌打ちをすると、空間魔法でローブを取り出し、転移魔法でランスへと向かった。
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