†悪の囁き†

14/15
5872人が本棚に入れています
本棚に追加
/526ページ
「!?」 神の憤怒した鋭い眼光に射抜かれたシュナは言葉を失う。 「返答次第ではただでは済まさんぞ!!」 カイルから使い魔などでいう魔力、神気が立ち上る。 「あっ…」 声が出ない。 シュナは真っ白になりそうな頭を必死に動かす。 身に覚えのない怒りの矛先が何故自分に向いているのか。 カイルの奥で何か様子がおかしいカイ。 状況を把握したくても神の怒りという恐怖が体の、思考の自由を奪っていく。 “コンコン、ガチャ” 「司令、先程の国王との対談の件ですが…」 幸か不幸か、司令室にキサラが入ってきた。 「!?」 キサラがカイルを見るのは初めてだ。 立ち昇る恐ろしい神気。 憤怒の表情。 キサラは微動だにすることが出来ず、その場に佇む。 震える体を抑えることすら出来ない。 「…対談だと?」 カイルの神気が少し収まる。 「そ、そうだ。私は先程まで国王と対談していた…」 シュナは必死に絞り出した、かすれた声で言う。 「虚偽ではなかろうな」 カイルの問いかけにシュナは頷く。 真意を確認したカイルの神気が収まる。 「では、先程のお主は一体何者か」 カイルは、シュナが話しやすいようにアースの姿をとった。 「一体何があったのか説明してくれないかい?」 シュナは汗ばんだ手を吹き、何とか動けるようになったキサラを椅子に座らせ問うた。 カイルは先程の出来事をシュナへ説明する。 「何者かが俺の姿を…」 「!?」 シュナが険しい表情で思案していると、カイに変化が現れた。 「邪悪な魔力…」 俯いたまま微動だにしないカイから、邪悪な魔力が漏れ出したのだ。 カイルとシュナは即座に感じ取る。 このままでは堕ちる、と。
/526ページ

最初のコメントを投稿しよう!