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「止めなければ」
カイルはカイを凝視する。
「一体どうやって止めるんだ?」
シュナはアースに問いかける。
「眠らせる」
そう言うとアースはキサラの顔を一度見るとシュナの顔を見つめた。
カイルの言いたいことを理解したシュナはキサラの方を向く。
「カイルが神気を使う。キサラは外に出ていてくれ」
キサラの体はまだ小刻みに震えていた。
キサラもそれなりの戦士だ。
しかし、カイルの怒気に戦意を奪われていた。
今はアースの姿をとっているため少しは落ち着いているが、カイを眠らせるために今一度姿を変えなければならない。
カイルとシュナは、今のキサラには耐えられないと考えたのだ。
自分の体は自分がよくわかる。
先程のは急で気を失わなかっただけでも自分を褒めたいぐらいだ。
自分にはきっと耐えられない。
キサラは頷き、一度会釈すると静かに外へ出た。
シュナは心底心配げな表情でカイを見つめる。
カイはそうは思ってないだろうが、シュナはカイの事を本当の弟のように思っている。
「……頼む」
カイルは瞬き一つで人の姿に変わる。そして、カイに両手を向けた。
カイルの水の神気が冷気へと変化する。
そして、現代の言葉ではない事を紡ぎだす。カイルが言葉を紡ぐごとに周りの空気が清らかに、冷たくなっていく。
“パキパキッ”
徐々にカイが氷に包まれて行く。
カイルは一層強く神気を込め、一気に放つ。
「結!!!」
“パキンッ”
氷がカイの前進を包み込んだ。
「これで暫くは持つだろう」
カイルは息をつきながら言った。
「カイ…」
氷に包まれ、眠ったように動かないカイをシュナは氷の上からそっと撫でる。
一体誰がこんなことを…
シュナの瞳は怒りに燃えていた。
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