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「町長の、馬鹿」
動物の気配がない。
あまりにも静かすぎて気味が悪い。
そもそもどうして自分はこんな所に居るのだろう。
自分達の身の保身のためにリクを差し出した町人達など見捨ててそのまま逃走すればいいじゃないか。
うん、そうしよう。
何故今まで大人しく化け物の登場を待っていたのだろうか。
もう季節は冬で、軽装の状態で連れてこられたせいでありえないほどに寒いというのに。
「馬鹿馬鹿しい」
ざり、という土の音と共に、出口の分からない森を歩き始める。
入る時に使った出口では町人が見張りをしているので戻れない。
結局、いくら進んでも何の変化を見せない道に飽き飽きして、不自然にある一本の道を進むことにした。
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