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リクは庭を歩いていた。
今現在、他の皆は私用で出かけていて屋敷内には誰もいない。
その間の料理は自分で作っているし、今日の分の洗濯も終わった。
ようは暇になったのだ。
この屋敷に来てからは常に誰かが一緒にいたように思える。
だが今は一人。
なんだか昔の生活に戻ったみたいだ。
それほど遠くない、町で暮らしていた頃の自分に。
それが嫌で気分転換にと庭に出てきた。
今日も青い薔薇が美しく咲き誇っている。
ここの花達は枯れることを知らないのだろうか。
そんな事を思った時だった。
「お嬢さん」
背後から声がした。
何故だ。
今ここには誰も居ない筈なのに。
振り返ろうか迷っている間に、突風が吹いた。
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