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まるで毒の海にどっぷりと浸かっているかのような、彼のどんよりとした目。
彼は私を救ってくれた。
だけど私は彼を救うことができない。
寒い。
隣に居るのがいつもの彼でないことが、こんなにも寒く感じる。
早くあの女から解放してあげないと。
このままでは自分も彼も死んでしまいそうで、恐怖が渦巻く。
「アキラ……」
吸血鬼の屋敷のように遮光カーテンのひかれた一室でのこと。
銀髪で少しつり目なのが特徴な女性、ヒメがベッドに座る人形のような男を抱きしめていた。
その彼にいつものような暖かさはなかった。
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