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ジグはそれにひるむ事もしなかった。
ただ静かに彼女の怒りが収まるのを待って口を開く。
「裏切ってなどいません。ヒントは与えましたが、貴女がここに居る事は黙っておきました」
「え……?」
「しかし彼ならすぐに来るでしょう。彼と棘の女王のどちらにつくのか、よく考えておいた方がいい」
ジグは忠告のようにそれだけ言うと、部屋から出て行った。
残されたヒメは自分が眠りにつかせた少女を思い出し、辛そうに俯いた。
今まで何人殺してきたかは分からない。
だが彼と出会った今の自分が、彼女を殺すことを躊躇していることは分かっていた。
だから少女を完全に凍らせることが出来なかった。
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