名付け親は誰?

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私は焦っていた。 りんを手放せば、りんに対するこの「想い」が無くなるだろうと考えていた。 だが手放しても「想い」は消えないし、薄まらない。 ますます強くなる「想い」。 それだけりんを「愛している」いることは気付いていたが、認めたくなかった。 りんが滝壺に飛び込んだ後は、とにかく無我夢中だった。 何が何でもりんを助けたい。 この「想い」が「何者にも敗けない強さ」に繋がると知ったのは、後の話だ。 「りん。何か欲しい物はあるか?」 私はいつものように、りんを連れて歩いていた。 「あります」 「それは何だ?」 「子供が欲しいです」 「子供」という言葉に足を止めた。 (…今のは聞き間違いか?いや、確かに「子供」だと聞こえた) 「…それは確かなのか、りん」 「はい。二人欲しいです」 「子供か……」 そんなこと、一度も考えたことがなかった。 「もし子供が産まれたら、殺生丸様、名前考えてくれますか?」 正直、自分とりんのネーミングセンスが良いか悪いかの判断に悩んだ。 「…犬夜叉達の知恵をも借りる」 三人寄れば何とやら、だ。 (※三人寄れば文殊の知恵) 「私が傍に居なくとも、母であるお前を護れるような子に育つような名を付けぬとな」 お前を護る「光」に相応しい名前を考えよう。 「約束ですよ」 「…ああ」 数年後。 この願いは実現した。
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