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大人になるまで待っててくれる?
その一言を言うのに、かなりドキドキしていた。
「そんなに待てない」とか「私と共に生きるのは嫌か」なんて言われるのが、こわかったけど。
「だから今度は、私がお前を待とう」
あの言葉は、本当にうれしかった。
りんが今でも殺生丸さまを好きなように、殺生丸さまもりんのことを好きでいてくれているんだね。
この殺生丸の心が変わらぬように、りんの心も変わらない。
ならば……。
「…りん」
私はずっと考えていたことを、今告げたかった。
「次に会う時は、お前は一人の女だ」
「? …はい。そうですね」
「もうひとつ、別の約束を取り付けたい」
「え…?」
りんは驚いて私を見上げる。
「次に会う時は、お前を私の妻として迎えたい」
「……!」
「…嫌か?」
りんは必死に首を横に振る。
「とても…うれしいです!」
ぎゅっと強くしがみつかれた私は、思わず笑っていた。
「お前がどんな姿になろうと、私はお前を愛している」
『生きていれば、必ず会えるよ』
『だから、あんたも生きなよ』
貴様に言われるまでもない。
りんと夫婦になる日まで。
子どもが産まれるまで。
やがてその子どもが、私より強くなる日まで、生きてみせる。
私一人ではなく、りんと共に産まれてくる子どもを見てみたいのだ。
…出産の時には母上のところへ行くか。
でも、まだそのことは告げない。次に迎えに来る日まで、自分の中に秘めておく。
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