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「よおぉーし!! お前ら、今日はあの伝説のバッターにして三冠王、完全試合の鬼である徹也さんが相手してくれるぞ!!」
「……せめてバッターかピッチャーで統一したらどうだよ」
中学のとき好奇心で短期間だけ野球部に入ってただけの俺が、そんなマトモに動けるわけもない。
集まっていたユニフォーム着用の小中学生グループが目を見開いて驚いていたので、熱男に一撃お見舞いしつつ色々と訂正してから近くにあった木製バットを手に取る。
「よし、今日こそ決着をつけてやんぜ!」
「なんのだよ……てかお前が投げるんかい」
つか、俺を除いた集まりの中で最年長かつ現役野球部の熱男がピッチャーってのは、ちょっと理不尽じゃないか?
どうせならその役はそこでウズウズしてる、おかっぱヘアーでくりくりお目々のチビちゃんに任せて、お前は外野手とかその辺に落ち着いて欲しかった。
ほら、よく部下を立てる、とかいうアレだ。
そしてチビちゃん、キミは男の子なのかそれとも女の子なのか……俺はそれが気になって仕方ないよ。
「……俺が投げるのは一回だけだ。それから普段はちゃんとコーチの役割も担ってる。……あとチビちゃんは俺の嫁だ」
「最後のだけは全力で阻止するか……」
こいつ、まさか思考の深層まで読んでくるとは、とんだサイコメドラーだったらしい。
まー、こいつもそこまで腐ってはないだろうし、ある程度信用もしてるから大丈夫だと思う。
けど、その冗談をチビちゃんの前で口にしたのは頂けないな……もし男性恐怖症にでもなったらどうしてくれんだ貴様っ!?
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