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つか、なに?かわいい?それは俺に使う形容詞じゃねえだろ。俺のどこがかわいいって言うんだ。
ひとしきりゴホゴホと噎せたあと、若干涙目で伊織のほうへ視線を飛ばした。
「僕の…いったいどこがかわいいと言うんですか。ありえないでしょう?」
「それにかわいいなんて言葉は伊織みたいな子に使うんです」と続けて言った俺に、伊織は少し顔を赤くする。それから困ったように首を傾げ、苦笑い。
なんだよ。その表情は。なにが言いたいんだよ。
「美咲は普段からこんな感じだから、宮西もほっといていいぜ」
「……」
そんな感じって、どんな感じだ。馬鹿野郎。俺はいつだって普通だ。一般的な日本人だ。
黙ったまま、ムッとする俺。翔をジト目で見る。すると翔は乾いた笑いを発しながら視線を鯖へと。
そーかそーか。いーさいーさ。翔くんのことなんか、もう知ーらないっ。もう嫌いだもんねーっ!もう絶交だもんねえーっ!!
鯖をつついている翔に対して、ベーッと舌を出してから、俺も食べることを再開した。
+++++++
昼ごはんを食べ終えたあと、俺たちはまた第一体育館に来ていた。
本日のSクラスの試合はすべて終了した。だから別にもう体育館に来る必要はない。でも俺たちは戻ってきた。なぜかと言うと、クラスは違うが同じ一年の二人組の会話を偶然聞いたからだ。
『今からだって!』
『なにが?』
『鳳様と賀川様のクラスの試合だよ!』
『ほんとに!?』
『ほんとだよ!早く行こうよ!』
『うんっ!』
うん。確か、こんな感じだった。
今から体育館で会長のクラスの試合。俺はもちろん行きたくないと言って断った。
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