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宮田は真新しいマウンドをスニーカーで軽く掘っていた。
全員がそこに集中している。
海音寺はバットを肩に乗せたまま動かず静かにマウンドを見ていた。
宮田は正面を向いた。
縫い目を確かめる。
そのままワインドアップで振りかぶる。
海音寺がバットを立てた。
全員の緊張が高まる。
足を上げて、投げた!
綺麗なオーバースローだ。
ビュッ!
バシン!
柏木「ボボボーボ・ボール!」
海音寺は外角高めのストレートを平然と見逃した。
因幡(なかなか速いな~。俺とどっちが速いかな~)
因幡は一人右中間で考えていた。
さっきの自己紹介でピッチャーと言った奴はいなかったけど、実際ピッチャーできる奴がいた。
球速は同じくらいの速さ、110キロ後半ぐらいだろう。あとはコントロールと変化球。
エースなれるかなあ~
と、そんな事を考えているうちに宮田の第二球が投じられていた。
ストライクだ。全員がそう思ったとき、海音寺のバットが振り出された。
カキィィィィィィン!!!
誰ひとり動かずに打球を見つめていた。
青空に重なりどんどん遠ざかる。高い、とてつもなく高い打球だった。
打球は因幡が気がついた時には消えていた。
全員が無言でボールが消えた先の林を見つめていた。
ただ一人海音寺はヘルメットを片付けにベンチに向かって歩いていたが。
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