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『私…母親だもん…優愛の為なら頑張れる』
『そうだな…こんな父親なんて…要らないよな…』
樹が泣き出した
父親が亡くなった時にも泣かなかった樹が…
私の前で声を出して泣いていた…
私は漠然と目の前の不思議な光景を見ながら、以前の会話を思い出していた
「樹って泣く事あるの?」
「泣かないだろうな…男は涙を見せるもんじゃない」
「でも…悲しい時とかあるでしょ?もし…泣くとしたらどんな時?」
「泣くとしたら?…大切なものを無くした時だろうなぁ」
「じゃあ私がいなくなったら泣く?」
「そりゃあ泣くと思うよ」
「嘘だぁ…お父さんが亡くなっても泣かなかった人が私を失って泣くかなぁ…」
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