2.消しゴムと手

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  「駿、大丈夫? 顔真っ赤だよ? ……私、そんなに重かった?」 「いや、そういうわけじゃない……」  というか重たいとか感じる余裕がなかった。むしろ浮いてる気分だった。 「消しゴム取れたか?」  話を無理矢理戻した。いつまでも肩車の話をしていたくない。 「え? うん、ほら!」  そう言って百合は右手に持っていた消しゴムを俺に見せる。  こんなものの為に俺はあんな恥ずかしい事をしたのか……  まぁ……でも良いか。嫌って訳じゃなかったし。 「で、それどうすんだ?」 「ん~……貰っちゃおっか!」  まぁ置きっぱなしになってたんだし、問題ないだろう。 「よいしょ……じゃあ行こっ!」  百合はその消しゴムをかばんに入れて歩き出した。  学校から交差点まではほとんど距離がない。100メートルぐらいだ。だから1、2分程度でたどり着いた。 「じゃあ、また明日」 「うん! ばいばい!」  交差点で百合とわかれ、俺は自分の家に向かって歩いた。  交差点を渡って少し歩くと、前の人間が目に入った。  大きくて赤髪に、俺と同じ制服……間違いないな。 「大輝!」 「んぁ?」  俺が少し離れた所から呼びかけると、大輝は後ろを振り返り止まった。 「駿か。肩車はもういいのか?」 「うっ……見てたのか?」 「あぁ。と言うか帰ってく生徒全員が見てたぞ?」 「声ぐらいかけろよ……」 「いや、かけられる空気じゃなかった」  そんな空気だったのか……いや、まぁ何となく予想はできる。  大輝はそう言うと再び歩き出した。帰り道が一緒なので俺もその後ろについていく。  
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