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「大輝って家こっちなのか?」
「あぁ」
「でもこっちだと俺と同じ学区だから中学一緒のはずだけど……」
「今月引っ越した。いや、正確には家出した」
家出って……
「なんで?」
「家族と上手くいかなかった。それだけだ」
大輝はさらりとそう言ってのけた。家族……か。上手くいかない家族もあるんだな。俺にはわからないけど。
っと……俺の家に着いちまった。
「じゃあ俺の家ここだから。暇だったら遊びに来なよ」
「……百合もそうだが、お前もやっぱり変な奴だな」
「変な奴? なんでだ?」
「俺と仲良くしても何も特なんてないぞ? 教員には目を付けられてるし、それに関わったお前達もきっと良い風には思われていないだろう」
大輝の目は真剣で、少し悲しげだった。
「どうして俺に関わろうとするんだ?」
「う~ん……そう言われてもなぁ……」
俺にはその答えを上手く言うことができなかった。
「そうか……まぁ、なんだかお前とは妙に気が合いそうな気がする。今度ゆっくり話がしたい」
「あぁ。じゃあまたな」
「それと小山……百合に言っといてくれ。俺は煙草は吸わん」
「明日自分で言いなよ。どうせ百合から話しかけてくるだろうし」
大輝はふっと微笑み、歩き出した。
それを見た俺も少し微笑み、自宅へ入っていった。
「ミィ!」
「あぁ、ただいま。エサか?」
玄関にいる俺に黒猫が寄ってくる。
因みに名前は結局「クロ」にした。黒いからクロ、わかりやすい。百合はトラって名前が良かったらしく、今でもトラって呼んでるけど。
それにしても……人って見かけによらないんだな、やっぱり。赤い髪を思い出しながら、俺はそんな事を思っていた。
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