向日葵と百合の初恋日記

1.入学

「あ、あぁ、よろしく。俺は奥川駿」

「私は小山百合(ｺﾔﾏ ﾕﾘ)！　よろしくね、駿！」

　いきなり名前の呼び捨てか。なんか……良いね！

　俺はそう思い心の中でグーサインをした。……つもりだったが、実際にグーサインをしていた。

「……何してるの？」

「あっ、いや、別に……」

　何してんだ俺？　せめて心の中だけにしてくださいな。いきなり引かれてるじゃねぇか。第一印象が急にグーサインをするヤツになっちまった。

「ふーん……変なの」

「へ……」

　初対面な人に対して『変なの』？　え？　俺今変だった？

　……はい、変でしたね。ごめんなさい。

「ま、まぁ気にしないで、えっと……」

　なんて呼べば良いんだ？

　小山、小山さん、百合、百合さん、それとも……嫁？

　最後ごめんなさいもうしません。

「……もう名前忘れたの？」

「いや、なんて呼んだら良いかな、と……」

「呼び方なんて私ってわかれば何でも構わないよ？」

　なるほどなるほど……

「じゃあ……嫁？」

「…………ふぅん」

「すみません。じゃあ百合……」

「よろしい！」

　1回だけでも嫁と呼べた俺素晴らしい！

　ただその後ヤバイぐらいの殺気だったよ。結構怖かったよ。あともうしませんって言ったそばから嫁って言ってすみません。こんなんでも一応反省はしています。本当にもうしません。