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「1回寝たら起きないタイプだな……」
大輝に支えられている瑠魅は立ってはいるものの完全に目を閉じている。
「……送るしかないか。こいつの家ってわかるか?」
「いや、知らない。百合は?」
「ううん、わからない」
これは困ったな……1人じゃまず家にたどり着けないだろう。
再び大輝が揺すりながら声をかけるが、瑠魅は「……ん~……」とだけ返事をし、意識はない様子。
……こいつは中身も子供かっ!
「仕方ない……百合、こいつの生徒手帳取ってくれ」
大輝は瑠魅の脇腹を支え、百合に向ける。
百合は「は~い」と返事をして瑠魅の制服の胸ポケットから生徒手帳を取った。
「……近いな」
大輝はそう言って瑠魅を背負った。
まさか……
「お前らは先に帰ってくれ」
そう言った大輝は自分の家とは逆の方向へ歩き出した。
……何か絵的に凄い事になってるぞ? 大丈夫? 警察とか呼ばれない?
「私達も行くよ!」
「そうか」
大輝は振り向かずにそう返事をした。絵面は全く大丈夫じゃないからな、2人で行かせる訳にはいかない。俺達は後を追うように歩き出した。
「あれ……警察呼ばれないかな」
「あははっ! 確かに呼ばれそう!」
だって2メートルの赤髪の不良が眠った女の子背負って歩いてんだぞ? 通報されてもおかしくない。
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