3.部活

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   おぼつかない足取りで瑠魅は両親の傍へ行き、その間に座った。 「ほら、お礼言いなさい」  照れくさいのか、瑠魅は俯いて何も言わない。マジで小学生みたいだ…… 「……かごだま……」  ……何て? 「かごだま……籠、球……籠球……バスケか?」  大輝がそう訊くと中野は首を傾げた。バスケまでたどり着くのに2、3秒だった。そういや大輝って頭良かったんだ。  と言うか、バスケが何? 瑠魅はもう何も言おうとせず、両親の間に人形のようにちょこんと座っている。首を傾げたから正解なのかもわからない。 「じゃあ、帰るか」  大輝がそう言うと俺と百合は同時に頷く。俺達は3人に軽く頭を下げ、立ち上がった。 「……待って……」  玄関まで行き、外に出ようとしたら瑠魅がそう言って大輝に近付いた。 「……ありがとう」 「……あぁ」  大輝はそうとだけ返して玄関のドアを開け、外に出ていった。 「あははっ、何か変に緊張しちゃった」  俺が思っている事を隣で百合が言った。つーかこれ本当俺達来ない方が良かったんじゃないか? 「駿も見事に無言だったね~。大輝が1番喋ってたなんて珍しい!」  黙っていた反動か百合の口がよく動く。大輝は全く反応せずに前を歩いている。  確かに見事に無言だった。自分でもわかるぐらい空気だった。今瑠魅の家に戻っても「どちら様?」って言われそうなぐらい空気だった。  
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