3.部活

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  「ただいま~」 「ミィ!」  家に入って俺が呟くと、クロが玄関まで走ってきた。どうやら懐いてくれたみたいだ。  子猫用のエサとミルクを皿に入れ、制服から部屋着に着替える。リビングでテレビを付けてようやく一息。 「家族か……」  家族が羨ましいと思った。いつ以来だろう、もしかしたら初めてかもしれない。  俺に家族がいたら今はどうしてたんだろう。  両親がいて、兄弟とかいたりして、賑やかで明るい家庭だっただろうか。 「……やめよ」  何か寂しくなってきた。無意味にテレビの音量を上げていく。  その時、テレビの音とは違う音楽が聴こえてきた。携帯の着信音だ。 「はい、もしもし?」 『あ、もしもし? 奥川君?』 「あ、はい」  女の人の声。誰だ? どこかで聞いたような…… 『アルバイトの件だけど、今週の日曜日から入れるかな?』 「あっ、あぁ、はい。すみませんうるさくて……」  思い出した、この間バイトの面接した寿司屋の店長だ。俺は急いでテレビの音量を下げる。焦ってるのか電源を消す発想が出てこなかった。 「えっと、来週の日曜日……って事は採用、ですか?」 『うん、という訳でこれからよろしくお願いします』 「あ、ありがとうございます!」  何故か立ち上がって頭を下げる俺。 『で、いきなり申し訳無いんだけど、ゴールデンウィークって凄く忙しいの。奥川君にも入ってもらいたいんだけど良い?』 「はい、大丈……」  途中まで言いかけて俺はカレンダーを見た。 『ひょっとして用事があった?』 「あ、すみません。5日がちょっと……」 『5日ね、わかったわ。さすがに全部出ろとは言わないから大丈夫よ』  そう言われて俺はほっとした。  それから話を聞いていると、どうやらこの人、俺と同じ学校に通っている3年生らしい。優しそうな人だし、よかった。  
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