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「駿君、何時までいれるの?」
「5時からバイトなんで4時ぐらいまで」
俺は御船さんにそう返して外に向かった。
「そうだ、今日はあの子も来るって言ってたわよ!」
「そうですか……わかりました」
そっか、あいつも来るのか。
「駿兄ちゃん遊ぼ~!」
「おう!」
俺はそう返して子供達の中へ入った。幼稚園児くらいの子供と俺くらいの年の人が遊ぶのは、ここでは何も珍しい事ではない。証拠に子供だけじゃなく中学生の人だって一緒に遊んでいる。
「駿さん、何か変わりましたね」
「あぁ。まぁ色々あったからな……」
俺は一緒にいた中学生の子に訊かれたのでそう返した。
まぁ色々と言っても80%ぐらいは百合なんだけど。あとの20は大輝と瑠魅かな。
それにしても……
ここにいる時はそんなに気にしてなかったけど……子供、多いな。
それはつまりそれだけ育児放棄をした人間がいると言うこと。育児放棄をする人間が増えていると言うこと。
自分の子供を捨てる人ってのはどういう人間なんだろう。俺にはよくわからない。
「あっ! 美希(ミキ)姉ちゃんだ!」
子供がそう園の入口を指差して言った。そこには白で統一された服装の女性がいて、こちらに向かってゆっくりと歩いてきている。
肩まで伸びた黒髪に、どことなく上品な立ち振舞い。15年一緒に過ごしたその人が、少しだけ懐かしく感じた。
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