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俺はこの1ヶ月の事……まぁあの3人の事なんだが、それを美希に話した。
話しながら思ったけど、たった1ヶ月でもこんなに色々あったんだな。
中学なんて園での思い出以外に無い。
中学に上がり少し経った時、俺はある事を考えてしまったからだ。
それから俺はずっと、何かを楽しんだり誰かと一緒にいる事が嫌になった。
ただ、自分と同じ境遇の人は別だけど。だから学校以外はずっと園にいて、園以外の人と遊んだりは全くしなかった。
「そろそろあいつらも時期だな……」
「そうね……」
中学に上がる頃か、それ前後。
俺は、俺達は漠然とある事を再確認してしまう。
自分が捨てられたと言う事。
それはもう悲しいのかすら解らず、ただただ考える事となる。
何を悩んでるのか、何に苦しんでるのか、自分にもわからない。
でも、俺達は……園のみんなは全員その漠然とした物に直面して、それを乗り越えないといけない。心無い誰かの身勝手な行動のせいで課せられた宿命だ。
試練と言うなら、そうなのかもしれない。
「それで? 駿はなんで園に来たの?」
「美希と同じ理由だと思う」
俺がそう返すと、美希は聞き返す事なく頷いた。
「こどもの日だからな」
俺は川の中の砂利を何となくいじりながらそう呟いた。
別に園の子供達の為に何かするわけじゃないし、何かできるわけじゃない。
何かあるとすれば、俺達にはこれから将来俺達のように外に出て1人で生きる事になる子供に、伝える義務がある。
生まれて良かったと言うことを。
ただ、今はまだ言えない。嘘は言いたくないから。
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