4.向日葵

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   俺は生まれてから今まで幸せだったのか。そもそも幸せとは何なのか。  わからないまま15年が過ぎ、未だにわからない。幸せの定義なんて人それぞれだし誰かに訊いた所で意味は無い。 「なぁ、美希?」 「何?」 「俺達ってさ……何なんだろうな」  その質問をする意味は全く無かった。 「そんなの……わからないよ」  どんな答えが返ってくるかわかってるから。 「さっき言ってたえっと……小山ちゃんだっけ? そこまで一緒にいるなら付き合えば?」 「は?」  いきなりそんな事を言い出した美希。俺は思わずそう返して美希を見た。 「だってもうそこまで仲良いなら付き合ってるのと同じようなものじゃない?」  どうなんだろう。以前大輝にも似たような事を言われたけど、よくわからない。 「どうだろうな……」 「何が?」 「いや、百合とは仲も良いし一緒にいたいとは思うけど……好きっていうのとはちょっと違う気がするんだよな」  かわいいと思った事はあるけど、好きと感じた事は……わからない。いや、そもそも俺は『好き』と言う事がどういう事なのかがわからないのかもしれないな。  残念ながら、これまで恋なんてした事が無いからだ。 「ふーん……じゃあ私と付き合う?」 「何でそうなんだよ」 「冗談よ。そうしたらわざわざ駿と違う高校に行った意味がないじゃない」  美希はそう言いながら手を水の中から出した。 「私にもよくわからないけど、ゆっくり考えると良いわ。その子が待ってくれてるなら、ね」  それに続くように「帰りましょ」と美希は言い、園に向かって歩き出した。  好き、ねぇ。やっぱりよくわからない。だってまだ1ヶ月だぞ? 1ヶ月前はお互い顔も知らないアカの他人だったんだ、わからなくたって何もおかしくはない。  
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