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園に帰った後は特に誰かと話す事も遊ぶ事もなく、ただベンチで空を眺めていた。
太陽はいつの間にか頂上を過ぎて、やがて空が赤くなっていく……
っと、今日もバイトだったな。そろそろ行かなきゃ
「御船さん、じゃあ俺は帰ります」
「あら、もうそんな時間? 美希ちゃんとどこか行ってからずっと上の空だったけど……大丈夫?」
「えぇ、大丈夫です」
俺はそう御船さんに返し、園の門へと向かった。本音だ、別に悩んでた訳じゃない。
まぁ、上の空だったのも本当だけど。
「美希、俺は帰るから……」
「そう……うん、じゃあね」
美希はあれから御船さんをはじめ色んな人と話していて、それが終わったら園のひまわりを眺めていた。
「じゃあ、またいつか」
「うん」
俺はそう言って園の外へ出た。美希は俺が園の門から出るまで、ずっと俺の方を見ていた。
ここからだと俺の家よりバイト先の寿司屋の方が近い。だから俺は家には向かわずに直接寿司屋へ行く。
いかん、何か変な気分だ……まぁ無理もないか。
でも切り替えなきゃ。何たって寿司屋に行くと……
ガチャ。裏口のドアを開けて中に入る。
「おはようござ……」
「おはよ~駿! 元気だった~!?」
明るい声が俺の声を遮って飛んでくる。その高いテンションは今の俺には少々きつかったが、それと同時にありがたかった。
そう、気持ちを切り替えなきゃいけない。何たって寿司屋には、色んな意味で凄い人がいるから……
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