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居間をスルーして寝室に入った俺。とりあえず着替えをしてベッドに寝転ぶ。
……何で来ないんだ?
俺は閉めたドアをじっと見た。
……人の気配はしないな。でも間違いなくあいつはこの家にいる。声したし。
何やってんだろ……
そう思い、もう居間に行こうと思った俺だったが、予想外の事態が起きた。
体が……重い。
いかん……毎日バイトだったから疲れが出たか……
結局俺がベッドから起きる事はなく、徐々に視界がぼやけてくる。そしてぼやけた視界が真っ暗になり、俺の意識は途絶えた。
「ん……?」
どれだけ寝てたのかわからない。俺は少し伸びをしてから目を開けた。
が、何も見えない。
電気消したっけ? いや、消してなかった。停電? いや、隣の家は電気ついてるな……
俺は窓から隣を見てそれを確認すると立ち上がり、部屋の電気のスイッチへ手を伸ばした。
……切ってある。
俺は部屋の電気を入れずにそのまま部屋から出た。
相変わらず居間は明るい。そしてさっきと異なっている所があった。
……良い匂いがする。
「あっ! 駿起きた~?」
居間に入るとテレビを見ながらのんびりとくつろいでいる百合がこちらを見て言った。
「……あぁ。この匂いは?」
俺は辺りを見渡してここが俺の家であることを再確認し、百合に訊いた。
「ハンバーグ作っといたよ! バイトお疲れさま!」
百合がそう言って少し離れた所にあるテーブルを指差す。そこには2人分のハンバーグとご飯。
見た途端一気に腹が減ってきた……
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