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「で?」
食器を洗って片づけ終わり、再びテーブルに向き合うように座ると百合が言った。
「……何が?」
「ほら! 今日何やってたの?」
「ん~まぁ……ちょっと出掛けてた」
俺は嘘にならない程度にはぐらかした。嘘はつかない。が、本当の事は言わない。
「誰かと? 女の子?」
「ん~……そうのような……そうじゃないような……」
確かに美希と会ってうろうろしたけども、本来の目的じゃないからな……
「ひょっとして彼女っ? じゃあ私こんな事してたら駄目じゃん!」
「彼女じゃない断じて違う!」
彼女ではない、ここ重要。
どっちかと言えば美希は家族のような存在だ。
「ふ~ん……よくわかんないけど、そうなんだ」
よくわかんないと言いながら何か納得してくれた百合。
じゃあこっちも聞きたい事があるから……
「百合さ……何しに来たの?」
うむ、もっと早くに訊くべきだったな。というか電話の時点で訊かなきゃいけなかったな。
「ん~と……」
そう言って考える仕草を見せる百合。
考えるという事はつまり今思い浮かんでいないという事で、この時点でもう「暇だから」とかの答えで決まりだな。
「暇つぶし!」
やっぱりね。
ただ、ちょっと期待を裏切るんじゃないかという期待を裏切られた感じだ。
「あとついでに明日数学の復習テストがあるから勉強しよっかな~って」
「理由あんじゃねぇか!」
って、テスト?
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