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「テストなんてあったっけ?」
「うん、オカリンが言ってたよ?」
オカリンってのは数学の担当の岡本先生の事だ。女子の間ではオカリンと呼ばれてる、特に何も特徴がない男の先生だ。眼鏡をかけてる以外は本当に説明できない。
「ん~……じゃあ勉強するか?」
「えぇ~……」
えぇ~って何だよ! その為に来たんじゃねぇのかよ!
「駿って勉強できたっけ?」
「いや、普通」
赤点を取る程悪くはない。けど、クラス上位に入る程良いわけでもない。つまり普通だ。
「ふ~ん……じゃあやらなくても良いんじゃない?」
じゃあ何しに来たんだよ!
いや、俺だって別に勉強したいわけじゃないよ? でもこの状況は何かがおかしくないか?
「百合さ……何しに来たんだ?」
「え? だから暇つぶし」
「……だけか?」
「うん」
あら不思議、理由が1つなくなってます。何という事でしょう。
というか暇つぶしで人の家に不法侵入ってそれどうよ……
「じゃあ俺の家に来てから何やってた?」
「えっとね……クロをお風呂に入れて、クロと遊んで、家の中を探検して、駿の部屋を漁って置いてあったお菓子を食べて……そのぐらいかな?」
うむ、最後の方は立派な犯罪だな。まぁ、不法侵入の時点でそうだけど。
クロがいつになくぐったりしてるのは最初の2つが理由か……
「まぁ良いや……そういえばさ、百合にちょっと話したい事があるんだ」
「えっ? まさか……告白?」
「違う」
キッパリと言ってやった。今日その事で悩んだばっかだしな。
ただ、キッパリと言って百合が別に残念そうな顔をしなかったのがちょっと悲しかった。自分勝手だなぁ、俺って。
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